『斜陽』太宰治

「斜陽族」という言葉を生み出すほど爆発的なブームとなった小説
敗戦直後に没落していく貴族階級の人々の心情や人間模様が描かれ
今でも多くの人に読み継がれると言われ、その良さを探しながら読み進めた一冊。

・最後の貴婦人である母は、
住み慣れた街を後にし伊豆に移り住むにつれて病状悪化していった
・流産や離婚後、恋と革命に生きようとする(シングルマザーの始まり)娘かず子
・戦地からの復員後、薬とお酒に溺れる弟直治
・貴族への羨望を拭えず反社会的となる小説家上原
幸せな登場人物は誰一人としていない

不始末から火事を起こし常識も生活力もない、かず子が最後に
「今の幸福感は飽和点。くしゃみが出るくらい幸福」
と不倫相手宛に手紙を綴る程の変化を遂げたのが驚きだった。
母の死をきっかけに「戦闘、開始」
「恋と革命」に生きることを決意し
弟の自殺や事件等を経て
叶わぬ想いを秘めながらも強かに
たくましく変化を遂げ、道徳革命の完成に至る

戦後とは比べものにならない位
物や情報にあふれる現代。しかし
“何をよすがに生きていけばよいかわからない”
混迷の時代といわれる今『斜陽』には
今を生きるヒントが込められるという。
読み手それぞれが感じ、気付き得られるものが異なるのも
読み継がれたきただけのことがある。
読むタイミングごとに異なる良さを見つけられた。
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